あなた色に染まりたい
「……あたしね、ちょうど二年前に、九ヶ月付き合った彼と別れたんだ。三つ上のサークルの先輩で……、凄く凄く大好きだった。

誕生日も、クリスマスも、年越しも、バレンタインも、ホワイトデーも……カップルで過ごすイベントは、すべて一緒に過ごしてきた」




あの頃の幸せな記憶がよみがえってきて、鼻の奥がツーンとしてきた。


目に涙がたまり始めて……一粒、また一粒と、頬を伝い始める。




「彼は、ずっと変わらなかった。優しかったし、愛してくれてたし。……でも、それは、あたしの思い過ごしだったの。……二年前、満開の桜の木の下で、彼は……、他の女の人を、抱いていたんだ」




言い切った瞬間、涙腺が壊れてしまったかのように、涙がぶわぁーってあふれてきた。


体育座りした膝に顔を埋める。
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