あなた色に染まりたい
あなた色
いつの間にか桜の木に蕾がつき、その蕾が少しずつ開花し始めた。
もう大丈夫だと思う反面、もしまた取り乱したらどうしようという不安も抱えている。
正直外を歩くのが怖かったりする。
明日が入社式という、三月最後の日。
蓮とまだ五分咲きの桜を見に行った。
一年前の入学式で、蓮があたしを見つけてくれた場所。
ここの桜は本数がかなり多くて、近くに寄れば寄るほど、桜しか視界に入らなくなる。
まだ五分咲きだけど、ピンクにうめつくされてしまったあたしの視界。
四年ぶりに……
心から……
綺麗だと感じた。
以前は花の中では、桜が一番大好きだったあたし。
この数年、それをすっかり忘れていた。
普通に綺麗だと思える桜が……
凄く凄く、愛しくなった。