あなた色に染まりたい

BLUE3

「もう少し歩こうか?」


「うん」




また蓮に手を引かれて、波打ち際を歩く。




「ほんとに気持ちがいいね」


「ん、……紗羽」


「何?」




蓮が足を止めて、ゆっくりとあたしの方へと振り返った。


凄く真剣な顔……


な、に?


こんな表情をする蓮は、滅多にない。


あたしの心臓が、どきどきと痛いくらいに騒ぎ出す。




「昨年、ここで話したこと覚えてる?」




ここで話したこと?


どの話?


あたしが首を傾げていると、蓮はその場にしゃがんで




「こうやって海水に手を付けながら、紗羽が“いやなことをすべて流してくれたらいいのに”って、言ったこと」




そういえば、そんなこと言った。
< 304 / 423 >

この作品をシェア

pagetop