あなた色に染まりたい
「ねぇ紗羽。あんた、蓮くんのことが好きなの?」
講義中に、隣に座っている美香がボソッと呟くように、あたしに問い掛けてきた。
「ん?どうかな。好きとはちょっと違う気がする。でも一緒にいると、凄く安心するんだ」
「そっか」
「うん」
蓮といるようになって、自分の心が穏やかになっているのがわかる。
きっと、美香はそれに気付いているんだ。
でもあえて、それを追求してくることはない。
あたしの心の中には、まだ大輝が居座っていることを、ちゃんとわかっているからだ。
最近は、休みの日の半分は外へ出るようになった。
映画だったり、ショッピングだったり……
“デート”っぽいことをしている。
あとの半分は大好きなDVD鑑賞。
もともと好きだったことだから、やっぱりこれはやめられない。