あなた色に染まりたい
その声に、外へ向けていた視線を、蓮へ向ける。


やっぱりいつもの蓮じゃない。


眉をハの字に曲げ、不安そうな表情をしている。


どうしてそんな表情をしているの?




「蓮?……何かあった?」




蓮の左頬にあたしの右手を添え、顔を覗き込みながらそう聞くと……




「紗羽」




蓮はあたしをぎゅっと抱き締めてきた。


ほんとにどうしちゃったの?




「情けねぇけど……俺、昨日から不安でしょうがなかった」




あたしの耳元でそう囁く蓮。


てか、不安?




「何で?」




蓮はゆっくりとあたしから離れて、今度は大きな右手であたしの左頬を包む。


相変わらず眉が下がったままの蓮。




「俺さ、バカみてぇだけど、朝から紗羽のこと待ってたんだよ」




えっ?
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