あなた色に染まりたい
PINK2
「ここにしようか?」
「うん」
蓮が足を止めた場所は、ライトアップされている桜とは別に、ひっそりと咲いている数本の桜の木の下。
少し薄暗いせいか、人もまばらでゆったりと座れそうだ。
小さな敷物を敷いて、そこに蓮と肩を並べて座る。
「紗羽、寒くねぇ?」
「うん、大丈夫」
季節は春に変わったとはいえ、朝晩はまだ冷え込むことが多い。
だから、スプリングコートを羽織っていても、少し肌寒く感じてしまうんだ。
でも……
蓮が手にしているものを思い出すと、口許が緩む。
「ビールを飲んだら温かくなりそうだし、大丈夫」
「いえてるな」
そう言って微笑む蓮に、胸がきゅんとなった。