あなた色に染まりたい
真っ直ぐな視線に頬が熱くなるのを感じて、膝の上にある自分の手へと、視線を落とす。




「俺の……、こと?」


「うん」




頷きながら出した声に、大きく息を吐いた蓮。




「……そっか」




さっきのトーンの落ちた声とは対照的な、柔らかいそれが落ちてくる。


そのままゆっくりと視線を上げると……


少し不安そうな表情を残しながら、蓮が口を開く。




「俺の方が、過敏になってんのかもな」


「過敏?」


「ん」




そのまま桜を見上げた蓮に釣られるように、あたしも同じ場所に視線を移す。




「桜を見ながら無言になる紗羽を、冷静には見れないんだよな」


「……」




大輝のことを二年も引きずっていたのを、蓮は知ってるから……


きっと、“今でも……”と考えてしまうんだね。
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