あなた色に染まりたい
「ご、ごめっ……」




慌てて起き上がろうとするけれど、一気にアルコールが回ってしまったのか、地に付けた腕にさえ、力が入らない。


そんなあたしを見て、蓮はそっと手を伸ばしてきて、あたしのサイドの髪を耳にかけたあと、身体を少し起こして……


触れるだけの、キスをした。




「れ、蓮っ……」




不意打ちのキスに動揺しながらも、真っ直ぐに向けられている瞳に、吸い込まれるように見入ってしまい、動けなくなってしまった。


蓮の腕がゆっくりとあたしの背中に回り、そのままグルンと上下が入れ替わる。


桜をバックに、蓮に見下ろされている……この画が、凄く綺麗。




「蓮…」


「ん?」


「好き」


「俺も、好き」




蓮は人差し指の背で、あたしの頬を上下するようにやさしく撫でる。


その仕草に、とくとくと心臓が加速し始めた。
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