あなた色に染まりたい
そのあと、ほんとにすぐに蓮のお兄さんのアパートに着いた。


車を駐車場に止めて、エンジンを切ってから、蓮が申し訳なさそうに口を開く。



「紗羽、一緒に来る?ここで待ってる?」



ほんとは、ここで待っていたいってのが本音だったりするけれど、一緒に来てるのに顔を出さないなんて、凄く感じが悪いやつだと思われそうだもんな。


何事も最初が肝心だしね。



「一緒に行く」



そう言って、車から降りた。


差し出された蓮の手に、自分のそれを重ねて、ゆっくりと足を進めた。


そういえば蓮のお兄さんの話は、ほとんど聞いたことがない。


あっでも……


蓮と付き合い始めて間もない頃に、ストーカー事件にあったとき、蓮にお兄さんがいることを知った。


だけど、あれ?


凄く怖い人じゃなかったっけ?
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