あなた色に染まりたい
外見のせいか、まるでホストに口説かれているような気分になってしまう。


といっても、ホストクラブに行ったことがないから、ただの想像なんだけど。



「ほ、惚れませんっ!」



ふと我にかえって、慌てて否定したけれど……


初対面で、しかも初めて交わす言葉が、こんなふうにキレ気味ってどうなの?


凄く感じの悪い女ってイメージがついちゃったらどうしよう。


急に不安になってきた。


でも……



「とりあえず、少し入っていけよ」



あたしの言葉を気にしていないのか、中に入るように促された。



「じゃあ10分だけ、……紗羽、いい?」



こっちに視線を移した蓮がそう聞いてきたけれど、あたしがここで



“入らない”



とか、言えないでしょ。


ゆっくりと頷いて、そのまま部屋に入った。
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