あなた色に染まりたい
いつものように、蓮の舌が咥内を隈無く掻き回す。


それに応えようと一生懸命追いかけるけれど、その動きが素早すぎてなかなか追い付けない。


追いかけるのを止めてうっすらと目を開くと……



「……っ!」



蓮の瞳が真っ直ぐこっちを見ていて……


心臓がドキンッと跳ねた。


その瞬間、蓮の瞳がゆっくりと細められた。


こんなに激しいキスをしているのに、蓮はこんなにも余裕があるんだ。


そして唇が離れたと思ったら、体を抱き抱えられて、布団に寝かされた。



「ビールじゃなくて、紗羽に酔いてぇ」


「えっ」



普段蓮の口から出ないような台詞に、どきっとする。



「紗羽」



やさしく、かつ甘い声で名前を囁いた蓮は、切れ長の綺麗な瞳で真っ直ぐに見つめてきて、大きな手で髪をすーっと撫でてくる。


ただそれだけのことで、あたしの心臓はどきどきと騒ぎ始めた。
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