あなた色に染まりたい
「紗羽、お疲れ」



ようやく蓮の前に辿り着くと、あたしが大好きなやさしい笑みを浮かべながらそう言った蓮。


ああ、この笑顔、ほんとにカッコイイ。


そのまま固まったように見惚れていると、蓮はさらに目を細めて、



「とりあえず乗って?」



そう言いながら、助手席のドアを開けてくれた。


そのあとすぐに蓮も乗り込んできた。



「蓮、お誕生日おめでとう」



そう言うと、蓮はまたさっきのような笑みを浮かべながら、



「ありがとう」



そう言って、あたしの頬に手を添えて、ちゅっ、と触れるだけのキスをした。



「ちょっ、蓮っ!?」



いつも車に乗り込んだあとはこのパターンなのに、それを忘れていて、つい会社の真ん前でキスを許してしまった。
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