あなた色に染まりたい
固まっているあたしの横で、先輩はあたしの大好きな笑顔を見せている。



『俺、入学式で紗羽に一目惚れしたんだ』



運命だと思った。


先輩は運命の人なんだって。



『あたしも先輩のことが好きです』


『マジ?』


『うん。あたしも入学式で先輩に一目惚れしちゃいました』



先輩の綺麗な瞳を見ながらそう言うと、先輩は頬をうっすらと赤く染めながらそのまま近づいてきて、唇が触れた。



『大輝(ダイキ)……』


『え?』


『先輩じゃなくて、大輝って呼べ』



その日からあたしは先輩のことを“大輝”と呼ぶようになった。



大学では、大輝とあたしが付き合い始めたことはすぐに広まった。


大輝は凄くモテていたから、冷たい視線や言葉を浴びることはたくさんあった。


そのたびに親友の美香(ミカ)が助けてくれた。



辛いこともいっぱいあったけれど、大輝といられることが何よりも幸せだった。
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