あなた色に染まりたい
ピンポーン……
静かな空間に鳴り響いたインターフォン。
ゆっくり玄関へ向かい、ドアを開けると……そこには蓮が立っていた。
「蓮、お帰り……入って。」
いつものように、中へ入るように促すと、蓮は「お邪魔します」と小さく呟くように言いながら、そのまま部屋の奥へと入っていった。
あたしもそのあとに続いて、歩みを進める。
蓮がベッドに寄りかかるように座ったので、あたしは少し間を開けて、ベッドに腰掛けた。
「さっきはごめんね。蓮にあたるような言い方して。」
昼間見た蓮の悲しそうな表情が脳裏に浮かんできたから、すぐに謝らなければ……と思った。
だけど、蓮はその言葉には何も触れず、眉を下げながら、今にも消え入りそうな声で、言葉を放った。
「……ねぇ、紗羽さん。俺、そんなに頼りねぇかな?やっぱり俺じゃ支えになれねぇの?」
凄く……胸が痛かった。
さっきあたしが言った一言で、こんなにも蓮を傷つけてしまった。
「違うよ……あたし、蓮のこと頼りないとか、支えになれてないとか思ったことない。今は蓮がいないと、あたしはダメになるとさえ思う。」
「じゃあ、何で?」
「……泣いちゃいそうだったから。」
「は?」
予想外の言葉だったのか、蓮は眉間にシワを寄せる。
「ちゃんと話すと泣いちゃうから……あの場では言えなかった。」
「……良かった。俺、男のくせにしつこすぎるから、嫌われたかと思った。」
心底、ホッとしたような表情を見せる蓮。