あなた色に染まりたい
気付いた想い
翌日、約束どおり海へやってきた。
空は気持ちいいくらいに青くて、見上げていると吸い込まれそうな感覚に陥ってしまう。
波の音を聞きながら、蓮と手をつないで砂浜を歩いた。
まだ泳ぐには早いからか、人はほとんどいない。
波の音を聞いているだけで、凄く癒される。
「風が気持ちいいね。」
「ん、そこ座らねぇ?」
流れ着いてきたのか、人が座れそうな大きな丸太があった。
二人並んで座って、ゆっくりと押し寄せてくる波を眺めた。
「蓮はやっと19才だね。いいなぁ、10代。」
「俺は早く20代になりてぇ。紗羽さんにはぜってぇに追い付けないけど、同じ20代ならそんなに差を感じねぇもん。」
海を真っ直ぐに眺めながら話す、蓮の横顔を見つめる。
綺麗だなぁ……
男の人に“綺麗”って、少しおかしい気もするけれど、たぶんそれが一番当てはまる言葉なんだ。
「でも蓮は実年齢よりも、すべてが大人びてるよね。」
「マジ?それ、すっげぇ嬉しいんだけど……、つか、例えば何?」