奇跡みたいな奇跡

「それは言えねぇ
こんなこと乃ノ香に言ったら情けない
て思われるし、男として言う価値なんかないから」

なんて、言われたのかすっごく気になる
けど、私は聡哉を信じる

「分かった、聡哉を信じる」

私は聡哉をまっすぐ見た

聡哉は私に抱き付いてきた

「本当にもう駄目か？
本気で俺、今も好きだ。
乃ノ香の事ならなんでもしたい
俺。もう、乃ノ香じゃないと駄目だ・・・」

聡哉はだんだんと腕を強くなっていた

「ごめん・・・
私も聡哉のこと好きだよ。
でも、そういう好きではないんだ・・・」

「それは、まだ樹のこと忘れられないからか？」

「ううん。違う、もうたっちゃんのことは
忘れるから」

もうたっちゃんのことはいいんだ
たっちゃんのことはすぐに忘れられないかも
しれないけどじみちに前へ前へ進んでいこうと思うんだ

もうたっちゃんのことで苦しまないから

「もう、なんて言ったってもう無駄なんだな・・・」

聡哉はそう呟いていた
でも私にはちゃんと聞こえた

「ごめんね・・・聡哉」

「謝んなよ、」

私はまた涙がでて来そうだったけど
ぐっとこらえた
私が泣いちゃいけない