奇跡みたいな奇跡
たっちゃんはニッと笑ってくれた

「ここ綺麗だろ?」

「うん!すごく綺麗」

「俺な…一番好きな花はユリなんだ」

「え?なんで?」

「ユリの花言葉はな」

「うん」

たっちゃんは私の目をじっと見た

「貴重な人」

「貴重な…ひと?」

「うん。これを乃ノ香にあげたい
乃ノ香はこの世にたった1人しかいないんだ
だから、こんな貴重な人をずっと見守りたい
大切にしたいぐらい好きなんだ」

たっちゃんはまた笑った

「貴重な人に贈ります」

そしてたっちゃんは一輪のユリを
私の目の前に姿を現した

「いつから用意してたの?」

「内緒」

私はまた泣きそうになり
一輪のユリをもらった



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