奇跡みたいな奇跡
私がそうつぶやくと
聡哉がはっと手を放した

「悪ぃ悪ぃ、そーだったな」

ふー、これで一件落着って
思ったのに

「じゃあ、ハイ」

また、私のほうに手が出た

「??」

「手、つなごっか」

え!?ちょっ・・・
カレカノでもないのに

そんな私の様子が伝わったのか
手を引いた

「カレカノじゃねーと手はつなげねーのか?」

私はゆっくりとうなづいた
少し申し訳ない

私はうつむいた
聡哉の顔が見れない

「だよな!!」

聡哉は明るく言っていた
私はゆっくり見あげた

でも
あんな明るい声とうらはらに
聡哉の顔はとても悲しそうだった

せっかく気を使ってくれたのに
ほんとゴメン

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