紅い花に口付けを。
夕焼けは沈んだ。

月がくっきり黄色い光りを写しだす空を

少し恨めしく思う。

「夕霧、そろそろ行きな。藩主様を待たせてるんだろ?」

「あぁ。それじゃあ」

今更、客のところへ行けと言われても傷つきはしない。

花魁が恋することはいけないことで

そして、それが実ることはない。

ただちょっぴり切なくて、ほんの少し暗い気持ちになるだけ。














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