魔法使い相談所



誰にでも簡単に使えて便利な代物ではない、ということだろう。

魔法も美化されてる、ってわけだ。


「杖とか要らないんですか?志藤さん、持ってないみたいだけど」

「杖は、これだ」

「は」


見せられたのは、志藤さんが持っている真っ黒な扇子。

これが杖とか目が腐ってるんだろうか…。
いや、違うよね。


「……『杖と同じ役割を果たす物』と捉えればいいですか?」

「よく分かったな」

「なんとなく」

「ビンゴだ。これは媒体」


志藤さん曰く
魔法の力――あたしたちが魔力と呼んでいるもの――は、血と同じように、身体のなかを巡り回っているらしい。


「魔力ってのは、電気みたいなもんだ。それを圧縮し、体外に出すとき、かなりの熱量と痛みが付きまとう」

「…つまり掌から魔法を出したりすると」

「火傷は確実。酷いときは肉が裂けて血が出るな」

「グロッ」


魔法って、夢もへったくれもないのね。
志藤さんの表現が生々しすぎるだけかもしれないけれど。



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