羽田くんとうさ子の関係。
あたしにとっては…
「大きな本気な恋心だったよ…」
あんな最低な奴とは知らずに本気で大好きだった。
『宇佐美…本気はこのこと宇佐美に話すのは止めとこうと思ってた。
でも、あんな糞野郎に未練がある宇佐美にこのことを伝えないと
あんたのこの先の時間がもったいないと思ったの』
「フッ…」
『宇佐美、あんな最低野郎にあんたの大事なこの先の時間を使って想うような相手じゃない。早く忘れな』
「ウッ…ヒック…ウッウッう、うん…ヒック」
『宇佐美…泣かしちゃってごめんね』
「ううん…ヒック…フッ、啓子のヒック…せいじゃないからヒック…」
この涙は自分の馬鹿さへの涙。
彼女に浮気相手だった奴の話をするような馬鹿な奴を好きになったあたしへの見る目がなかった怒りの涙。
「ねぇ、啓子」
『なに?』
息を整える。
「あたし、当分恋なんてしない。今は全力であんな最低野郎を忘れる努力する」
『……』
「啓子、教えてくれて、後あたしの代わりに怒ってくれてありがとう」
『別にあたしが勝手にしたことだから」
「啓子のおかげで前に進む覚悟ができたと思うよ。
じゃあ、あたしみぃくんにアイス頼まれたから行くね」
『うん、じゃあまた明日ね』
「うん、おやすみ」
ピッ
あたしは静かに電話を切ると夜空を見上げた。
「亮平…」
あたしに言ってくれた言葉は全部偽りの言葉だったんだね。
あたしは目をゆっくり閉じて
亮平という存在を拒否する決断をした。