恋の魔法と甘い罠
「恵美(メグミ)、挨拶してもいい?」



慎也さんはそう言いながら彼女に近づき、そっとお腹を撫でた。


そしてやさしい笑みを浮かべながら、そのままその場所に顔を近づけて



「おはよう……聴こえるかい? パパだよ」



間違いなくそう言った。


その瞬間、頭の中が真っ白になって、くらくらと目眩が襲ってきた。


目の前の電柱に手を添えて揺れる体を支えた。


今見た光景が信じられなくて……


というか、信じたくなくて、ぎゅっと瞼を閉じる。


頭の中でゆっくり、1、2、3……と数えて、また目を開けた……


悪い夢から覚めていることを願って……。
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