恋の魔法と甘い罠

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「すみません」


「いや、謝らなくていいから」



『FLOWER RAIN』で和泉さんに慎也さんとの関係を打ち明けたときみたいに、いつの間にか和泉さんの胸を借りていたあたし。


謝罪と別れを口にして慎也さんが出ていったあと、手をつけられないほど涙が溢れて止まらなくなった。


和泉さんはそんなあたしを宥めるようにまた抱き締めてくれたんだ。



「ふりはもうやめる？」


「えっ」



突然発せられた言葉の意味がわからず首を傾げるあたしに、ふっと微笑みながら和泉さんは口を開く。



「付き合っているふりだよ。もう必要ないと思うんだけど」



確かに慎也さんとちゃんと別れられた今、和泉さんと付き合っているふりをする必要はない。


でも慎也さんのことを忘れるまで何ヶ月でも付き合ってくれるって言ったのに。


あれは嘘だったの？