恋の魔法と甘い罠
そう思っていると、自然と頬が膨らんでいて。


それを見てさらに笑っている慎也さん。


その横顔を見ていると、あたしまでうつってしまったように口許が緩んだ。


そしてふと思う。


平気だ……慎也さんの顔をちゃんと見れるし、笑うこともできる。
それに、全然胸も痛くない。


さっき和泉さんの姿を見たときの方が胸が痛かった。


……って。


あたし、もしかして……和泉さんのことが好きなの?


いやいやいやいや、あたしはまだ慎也さんのことが好きなはずでしょ?


ちらりと隣を見上げる。


そのままじっとその横顔を見つめるけれど、そういえば付き合っていた頃に感じていたような胸が疼くような感覚とか、どきどきがない。


今そういうものを感じるのは、和泉さんと一緒にいるときだけ。



「……」



てことはあたし、やっぱり和泉さんのことが好きなのかな。
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