恋の魔法と甘い罠
ふっ、と視線をそらして中庭の方を見た和泉さんは小さく息を吐いて更に言葉を続ける。
「俺が言ったんだよな、『一日の僅かな時間でもいいから会って少しずつ胸の痛みを消していけばいい』って」
慎也さんに『別れたい』と告げたばかりの頃、できれば会うことを避けていたいと思っていたのに、和泉さんがわざと慎也さんのいる場所にあたしを連れていって言った言葉。
あのときはほんとに胸が痛くて辛くてその場から逃げ出したかった。
けれど、和泉さんの言う通りだった。
いつの間にか胸の痛みが消えて、いつの間にかあたしの中から慎也さんがいなくなっていた。
あのまま避け続けていたら、今でも慎也さんのことを想っていたのかもしれない。
そう思うと、和泉さんには感謝しかない。
だからそれを伝えようと口を開きかけたとき、
「けどさ、面白くねーの」
和泉さんがぽつりと呟いた。
「俺が言ったんだよな、『一日の僅かな時間でもいいから会って少しずつ胸の痛みを消していけばいい』って」
慎也さんに『別れたい』と告げたばかりの頃、できれば会うことを避けていたいと思っていたのに、和泉さんがわざと慎也さんのいる場所にあたしを連れていって言った言葉。
あのときはほんとに胸が痛くて辛くてその場から逃げ出したかった。
けれど、和泉さんの言う通りだった。
いつの間にか胸の痛みが消えて、いつの間にかあたしの中から慎也さんがいなくなっていた。
あのまま避け続けていたら、今でも慎也さんのことを想っていたのかもしれない。
そう思うと、和泉さんには感謝しかない。
だからそれを伝えようと口を開きかけたとき、
「けどさ、面白くねーの」
和泉さんがぽつりと呟いた。