恋の魔法と甘い罠

「どう……って、何がですか？」



何をどう答えればいいのかわからず、和泉さんの顔をじっと見ながら訊いてみる。


そしたら和泉さんは視線をそらしてぼそぼそと呟くように口を開いた。



「……課長のことだよ」



課長？ ……って、慎也さんのこと？


けれど、慎也さんの何が『どうなんだ？』なのかわからなくて首を傾げる。



「何、わかんねー顔をしてんだよ」



和泉さんはそう言うけれど、



「だって、わからないもん」



そんなあたしに、和泉さんは「はあ？」と溜め息混じりの声を出す。


けれど、わからないものはわからない。


ていうか、何のことなのか、和泉さんがもっとはっきりと言ってくれればいいんじゃないの？


そしたらちゃんと答えられるかもしれないのに。