恋の魔法と甘い罠
夢うつつ
.



ちゅんちゅんという小鳥の囀りを聴きながら意識が戻ってきたけれど、それと同時にこめかみ辺りに頭を抱えるほどのずきずきとした痛みが走る。



「……いっ、たぁー……」



眉間に皺をぎゅっと寄せながらゆっくりと目を開けると、



「あ……れ?」



ここはどこ?


目の前にある家具などは、ほとんど全て黒で統一されているシンプルな部屋が視界に飛び込んできた。


そしてその瞬間感じた嫌な予感がひとつずつ現実になっていく。


首の下にある逞しい腕。


何も身に纏っていない自分の身体。


後ろから聴こえてくる規則正しい寝息。


そして下腹部に残る違和感。


これはどう考えても、後ろにいる人と寝たという証拠。
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