恋の魔法と甘い罠
結婚が決まってからの紗羽さんはますます綺麗になったと思う。


やっぱり女は恋をしていると綺麗になっていくんだ。


てことは……


失恋してしまったあたしは……だんだん醜くなっていくのかな。


そんなことを考えていると、いつの間にか目に涙がたまっていて……。



「玲夢ちゃん、どうかしたの?」



紗羽さんが心配そうに顔を覗き込んできた。そして、



「泣いてるの?」



と声をかけてきたけれど、慎也さんのことは紗羽さんにも言っていないし、相談なんてできるはずがない。


そう思ったら、その涙を無理矢理止めるしかなくて。


ぎゅっ、と歯を食いしばって涙を引っ込めた。



「泣いてないです」


「そう?」



紗羽さんはどこか信じていないような感じだったけれど、それ以上は突っ込んでこなかった。
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