恋の魔法と甘い罠
なんて思いながらも、あたしは今朝目覚めたときの光景が脳裏に浮かんできたからその場所を見ることができなくて、心臓がバクバクと音をたてているのを抑えるように深呼吸しながら、目の前に残っている後片付けの続きをした。


だけど二人の会話が気になって、無意識に耳を傾けていた。



「紗羽、何だよこれ。俺、聞いてねぇんだけど」


「あー、だって言ってないもん」


「……んっとに冷てーな、おまえらは」



何の話をしているかはわからないけれど、とても親しそうに見える二人。


そんな二人を見ている人は何人もいて。


あちこちでひそひそと言葉が飛び交っている。



「和泉さんってカッコイイよねー」


「ほんとに彼女いないのかなぁ」


「一度でいいからデートしたいよね」


「でも和泉さんの忘れられない人が紗羽さんなんでしょ？」



えっ！？


思わずその声の方へ振り向いて、さらにその会話に耳を澄ましてしまった。
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