恋の魔法と甘い罠
「どんなに誘っても絶対相手にしてくれないもんね。もう何人も玉砕してるよ」


「紗羽さん、結婚するのに……」


「まあ、本気にならないと相手にしないってことじゃない?」



そんな会話がなされているけれど……


どんなに誘っても相手にしてくれない?


何人も玉砕してる?


本気にならないと相手にしない?


じゃあ、あたしは?


昨夜のことは覚えていないけれど、たぶん和泉さんに抱かれた。


自分の体なんだから、何かあったってことくらいわかる。


じゃあ……


――和泉さんはあたしのことが好きなの?



「……」



いやいやいやいや……そんなはずはない。


だってあたし、和泉さんとは話をしたことがないんだもん。
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