恋の魔法と甘い罠
そうなんだ……と思いながらも、昨日の和泉さんが紗羽さんを見ているときの表情や瞳は、今でも「好き」と言っているように見えた。


そんなことを思い出していると、紗羽さんが首を傾げながら口を開いた。



「玲夢ちゃんこそ、どうして晴希のことを知っているの?」


「えっ!?」



紗羽さんは普通に訊いてきただけなのに、過剰に反応してしまった。


そんなあたしの反応が予想外だったのか、紗羽さんは一瞬目を見開いたけれど、すぐにまたそれを細めながらさらに続ける。



「だって、晴希ってうちの課に来ることはほとんどないから」



確かに、和泉さんが経理課に来たのを見たのは、昨日が初めてだった。


だけど、あんなにかっこよくて目立つ人を知らない人がいるのだろうか……。


何も考えずにただそう答えればよかったのに、覚えていないとはいえ和泉さんと 一晩過ごしてしまったことを思い出して、言葉に詰まってしまった。
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