恋の魔法と甘い罠
それからは気まずいくらいに会話がなくて。


和泉さんは坦々とした表情でビールを飲みながら目の前の料理を平らげていく。


怒っているわけではないと思うけれど、さっきまでからかい半分な態度で接してきた和泉さんの姿が全くなくなって、どうしていいのかわからなくなった。


きっと和泉さんからの質問に何一つ答えなかったから、相手をするのが嫌になってしまったんだ。


こうやって二人きりで食事……なんて気まずくて嫌だと思っていたけれど、こんな風に沈黙が続くだけだなんて凄く居心地が悪い。


心臓には悪いけれど、まだからかわれていた方がいい気がする。


ビールをちびちびと飲みながら、ちらり、と和泉さんの横顔を盗み見ると、相変わらず何を考えているのかわからないほどの無表情な和泉さんがいて。


そのままじっと見ていると、あたしの視線に気づいたのか、こっちに視線を向けることなく「何？」と訊いてきた。
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