恋の魔法と甘い罠
そしてすぐにやって来たビールを口に運ぶと、またこっちに視線を向けて



「玲夢は弱いよな」


「えっ」


「アルコール。まだ一杯目なのに真っ赤」



そう言ってあたしの頬に人差し指の背をそーっと這わせる。


触れた瞬間、あたしの身体が、びくんっ、と揺れたのを目にして瞳を細めた和泉さんは



「今日も記憶をなくすの?」


「えっ」


「俺はいいよ、それでも」



そう言った和泉さんが浮かべている笑みはどう見てもからかっているときのもので。



「だってさ……俺ら……身体の相性、最高だと思わねぇ?」


「え?」



身体の相性……


その言葉で、和泉さんが言った『記憶をなくすの?』の意味がわかって、顔中が一気にカッと熱くなる。


そんなあたしを見て



「ああそうか、玲夢は覚えてねーんだもんな。なんなら……今夜にでも、もう一度試してみる?」



和泉さんはさらに追い討ちをかけるようにそう言って、頬に這わせていた指を唇に移動させて、今度は親指で、つーっ、と左右に撫でる。


その仕草に、どきんっ、と心臓があり得ないくらいの大きな音をあげてしまった。
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