恋の魔法と甘い罠
唇に触れたままの親指に、そらされることのない真っ直ぐな視線。


そんなことをされると、あたしの心臓はあり得ないくらいにどきどきと激しく動き始めて……


和泉さんの瞳を見ていられなくなった。


そして、すっ、と視線をそらしたあたしに



「……玲夢……」



和泉さんはやさしく、かつ、甘い声で名前を呼ぶから、あたしの心臓はさらに活発になり、その音は壊れそうなほどにバクバクと大きくなっていった。


しかもアルコールが入っているからか、顔も身体も物凄く熱い。


そんなあたしにもう一度「玲夢」と呼ぶ和泉さん。


でもあたしは、それに反応できる余裕がなくて。


そしたら唇に触れていた指が離れて、そのまま顎に移動し、くいっ、と持ち上げた。


こうなってしまったら、もう顔を伏せることもできない。


それでも視線を合わせられなくてそらしたままでいると、和泉さんが動いてあたしの視界に入ってきた。



「……っ!」


「相変わらず真っ赤。……そういうの、新鮮でいいよな」



ふっ、と微笑みながらそう言ったあと、今度はそらすことができないほどの真剣な眼差しを向けてきた。
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