恋の魔法と甘い罠

その音を隠すように、さっきからあたしの脳内を埋め尽くしていたことを口にする。



「だって……和泉さんは、怒っていないんですか？」


「ん？」



あたしの言葉に和泉さんはそう言って首を傾げる。



「あたし……凄く、無神経なことを……言ったのに」



ぼそぼそと呟くように話しているあたしの言葉を聞いた和泉さんは、意味がわかったのか「ああ」と言って、そのままビールを口に運ぶ。


ゴクンッと喉を鳴らしながらそれを飲み込んだあと、またこっちに視線を戻して口を開いた。



「紗羽から聞いた？」


「えっ」


「玲夢がさっき言ったこと」



右腕で頬杖をつきながらこっちを見ている和泉さんに、首を横に振りながら違うと訴える。



「そういう噂を聞いたんです」


「噂？」


「はい」