2years
4/14---今日はあの子と約束した日でもあり、月命日だ。
1人の男性が約束した場所――墓場にやってきた。
男は20代半ばといった歳だろうか。黒髪に顔の形は整っており、少し童顔な風貌だ。
白のシンプルなカットソーに黒のジャケット。下は黒のズボンという至ってシンプルな服装に身を包み、
腕には銀時計をし、手にはアイリスと桜の花束を持っている。
男の名は藤本 洸(フジモト コウ)。
あの子―――降川千早の元担任だった。
千早との約束の為に今日は墓場まで来たわけだが何やら先客数名がいるようだ。
その先客は何やら見たことがある人たちだ。
男2人は元教え子と千早の父親で女二人は元教え子と千早の母親、そして―――赤ん坊。
藤本は千早の両親に近づいた。
「お久しぶりです」
「「ふ・・・藤本先生!!」」
「あ、あら。先生、お久しぶりです。あの子・・・千早の葬式の時はお世話になりました」
深くお辞儀をする千早の両親に、声を揃え吃驚とする春疾と夏名。
(相変わらず息ぴったりだな・・・)
春疾と夏名に感心する藤本は苦笑した。
「いえ・・・。お前たちも久しぶりだな・・・」
千早両親に軽くお辞儀をし、春疾と夏名に顔を向け、見る。
しばらく会わないうちにずいぶんと大人びたものだと思った藤本はなつかしみを噛み締め、優しげで少し悲しげな笑みを浮かべる。
「お、お久しぶりです、藤本先生」
春疾は何故か、藤本の顔を合わせようとはせず、目線をそらし顔を俯けた。
「お久しぶりです、先生。なんでこんなところに先生が?」
軽くお辞儀をして、疑問を安直に尋ねる夏名。
「ああ・・・。約束をね」
と、意味ありげに答える。
「「約束!?」」
またしても、二人声を揃え疑問を口にする。
一体何の約束なのだろうか?と春疾たちは思ったに違いないだろう。
この約束は降川千早と藤本洸だけの約束なのだ。