2years


は?と言いたくなりそうだったが言葉を飲み込んだ。


(呼びだした本人がいないってどういうことだよ!!)

怒りたくなってくる春疾。

千早はまだどこかにいるんだろう・・・きっと遅刻かなんかだろう。

両親まで呼び出しておいて当の本人が遅刻だなんて勝手すぎるだろ。

本気で怒りたくなった春疾だ。



「いないって・・・ったくー。俺携帯で呼び出します」

「春疾君・・・そうじゃないのよ」

千早の母が眉尻を下げて・・・悲しそうな顔をする。

そうじゃないって何なのだろうか。

意味がわからない春疾だった。

「え?」

「千早はもう携帯に出ることは出来ないのよ・・・」

千早のやつは携帯電話を壊したのか。

と思ったが―――“もう”とはどういう意味なんだろうか。

「千早のやつ携帯壊したんですか?」

そう聞いたら、夫婦共々首を横に振り、千早の携帯電話を取り出し、春疾に見せた。


千早の母の手平の上には2年前と変わらない千早の携帯―――。

そこには携帯だけ“ここにある”と証明していた。


次の瞬間、千早の父からとんでもない一言を春疾は聞くようになる。













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