2years
過ぎてしまったことは戻せない。それを夏名は知っていた。
それに最後って何なのだろう。それだけが夏名の気がかりだった。
淡いのタイトルネックに赤のチェックのワンピース、まだ肌寒いからと薄手の白の羽織を着ている。至ってシンプルなスタイルだがどこかオシャレで可憐さを漂わせている。
夏名の恰好は墓地に行くような格好とはとても思えない。寧ろ今からデートですとか遊びに行きますって感じの恰好だ。
こんなところに呼び出しておいて…不気味なところだ。
本当はこんなところに来たくもなかった。
だけど、行かなないと千早は絶対に祟る。
本気で祟ってくる・・・それに行かないといけないような気がするのと同時に最後と言うのもひっかかるからその真意を聞きだすためにそう思って夏名はこの墓地に来た。
(千早の件を早いところ終わらせて、大学の友達…マリナとの待ち合わせ場所に行かなければね…)
今日は合コンなのだからとのんきなことを思っていた。
周りを見渡したら、千早はいなかったが、懐かしい―――久しい人はいた。
その人はかつて夏名の元カレだった、そして千早が夏名から奪い取った人物―――野々宮春疾だった。
きっと、たぶん春疾も千早に呼び出されたのだと安易に読みとれた。
夏名は春疾に近づこうとした。
「春疾?」
と、声をかけたが、春疾は返事をせず、ただ茫然とそこに立っていた。
春疾の様子がおかしい。
「春疾?」
春疾の顔を覗いてみると――――春疾は泣いていた。
声を押し殺して、唇を噛み締めて。
一体何があったのだろうか。春疾を振り向かせようと肩をつかもうとしたら、手を振り払われた。
「しゅ、春疾何があったの・・・?」
たどたどしく言う夏名に春疾は衝撃の一言を呟いたように発する。
「千早は死んだ・・・」