Prisoner of Love ~全ての恋愛が失恋だとしても~
「真実と均さんも、もう結婚して5年になるんだから
 早く孫の顔を母さん達に見せてね。
 ずっと待っているんだから」

「…………うん。
 …ごめんね、共働きだと……忙しくて、なかなか…」

唇を噛みながら真実は謝った。

――分かっている。
別に、母も父も間違った事を言っている訳でもなく、
間違った事を望んでいる訳でもない。
真逆、それは至って正当な、純粋な、正直な願いに
他ならない事など――とうに分かっている。

何て残酷な正当性。

もういい。

もう充分だ。
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