Prisoner of Love ~全ての恋愛が失恋だとしても~
「父さんだって今は落ち着いているけど
 いつまた倒れるか分からないんだから、
 元気な内に――」
尚も純粋に延々と語り続けようとする母の言葉から
逃げるように真実は早口で応えた。
「うん、分かってるから。あ、均さん帰って来たみたいだから、
 そろそろ切るね。お父さんだけじゃなく、お母さんも
 体に気をつけて?」

「あら…やっと均さん帰って来たのね…
 じゃあ、切るけど均さんにも宜しく伝えておいて」
「うん、咲ちゃんの件も話しておくね」
「それじゃ、おやすみなさい。
 これからもっと寒くなる時期だから
 二人とも風邪ひかないように気をつけるのよ?」
そう言い残して、母は電話を切った。

真実は誰も帰って来ていないリビングを一瞥し、
首を左右に振った。
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