Prisoner of Love ~全ての恋愛が失恋だとしても~
「今頃は咲ちゃんも旦那さんも幸せいっぱいよねぇ…」
携帯を握り締めた侭、
ダブルベッドに独り横たわった真実の鼓膜に母の言葉が反響する。
「早く孫の顔を母さん達に見せてね」
電話越しに母がどんな顔をしていたのかが透けて見えるようで、
真実は目蓋をきつく閉じる。

両腕を顔の上で交差させ、真実は顔を覆った。
「どうして――…」
幸せいっぱいだと言えるのだろう。
本人達が本当に幸せだと思っているのかは
全く別問題ではないのだろうか。
幸せかどうかは他人が決めるものなのか。
幸せは他人に決められるものなのか。
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