Prisoner of Love ~全ての恋愛が失恋だとしても~
天井まで届く大きな窓から降り注ぐ秋の日差しを傍らにして
真実は缶コーヒーを飲みながら部下の話に耳を傾けていた。
200席近くある座席はほぼ満席に近く、社食は騒がしかったが、
真実が座っていた一角も負けてはいない。

「私もいつになったら室長みたいに落ち着いて
 クレーム対応出来るようになるんでしょう?」
両手で包み込むようにして持っていたコップをテーブルに置いて
田中は深々と溜息を吐いた。
「まァ、アンタの場合は修行に修行を重ねて、
 軽くもう20年は掛かるわね」
田中の隣に座っている早川がくすくす笑いながら
ミルクティーを口に運んだ。
< 7 / 146 >

この作品をシェア

pagetop