ぬくふわ -ﾃﾃﾞｨﾍﾞｱに恋をした-

「それでね、今日も菊地がうるさくて……」


私の日課はチョコとマロンに今日の出来事を報告すること。

愚痴でも、楽しかったことでも、何だって話すの。


高校生がこんなことしててイタイかもしれない。

だけどこれは私にとってストレス発散でもあるから、欠かせない儀式。


私には兄弟がいない。

それに……。



二年前、お父さんが空へ旅立った。


もともと仕事で忙しくて、出張ばかりだったからあまり生活は変わらない。

だけどお父さんが死んで悲しくない子どもなんていないと思う。

お母さんだって女手ひとつで私を大人にするため、必死に働いてる。


だから余計にお父さんからもらったチョコとマロンを大切にするようになったし、

家で話を聞いてくれるのはぬいぐるみ達しかいないんだ……。