天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ

第四試合

第三試合が終わり、次の試合までのインターバル。

「龍太郎君」

客席に座っていた龍太郎の元に、白い着物姿の少女がパタパタと駆けて来る。

「あ、雪菜っち」

きょうこが言う隣で。

「やぁあぁ、今日も可愛いねぇ雪菜ちゃん!次の試合応援してるからねぇ」

雪菜の手を握り締める陽。

結果きょうこに耳を千切れるほど引っ張り回される。

そんな痴話喧嘩の横で。

「あ、あの、龍太郎君、胸の傷は大丈夫ですか?ごめんなさい、私のせいで…」

「ああ、気にすんなよ。俺もこはくさんと一戦交えてみたくて割って入ったら、あっさり斬られちまっただけだからよ。別に雪菜のせいじゃねぇよ」

龍太郎は屈託なく笑う。

そんな下手糞な嘘など、雪菜に通じる筈もないのに。

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