天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
「あのっ、私!」

珍しく声を張り上げる雪菜。

「勝ちますから!龍太郎君は私に脱落させたくなくて、私を庇ってくれたんですよね?だったら頑張って勝ちますから!舞白先輩はきっと強いですけど…でも頑張りますから!」

「え…いや…」

龍太郎は戸惑う。

違う。

そうではない。

雪菜は誤解している。

龍太郎が雪菜を庇ったのは、彼女に勝ち抜いて欲しかったからではなくて…。

「あのな雪菜…」

言おうとした矢先。

『第四試合の選手の方、リングへ上がって下さい』

会場にアナウンスが流れる。

「あ、呼んでる…じゃあ行ってきますね、龍太郎君」

「あ、おいっ」

龍太郎の言葉も聞かないまま、雪菜はまたリングの方へと駆けて行った…。

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