天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
横殴りの雪、肌を切り裂くような冷気、当たるだけで痛いような雹混じりの旋風。

普段温厚で笑顔を絶やさない雪菜が起こしたとは思えない、凶器そのものの風。

棒立ちのままの舞白は、その風に飲まれ、吹かれ、翻弄され、見る見るうちに全身を雪と氷で覆われていく。

彼女の姿が、凍りついた人柱となるのに一分とかからなかっただろう。

「……」

その様子を、雪菜は驚いた顔で見ている。

(舞白先輩が…私の吹雪で凍りついた…?…あの舞白先輩が…?)

その事に、すぐに違和感を感じる。

舞白の強さは、雪菜も噂に聞いている。

予選での鎌捌きも見ている。

人外とはいえ、戦闘要員ではない雪菜に容易く倒されるような相手ではない。

つまりあの人柱は…。

「あら、ばれちゃった?勘がいいのね雪菜ちゃん」

直後背後で聞こえる声。

雪女の雪菜が、凍りつくような悪寒に震えた。

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