天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
咄嗟に振り向くと同時に後退。

そこには、微笑すら湛えた舞白が立っていた。

「…雪菜ちゃん、悪い事は言わないわ」

舞白はいつものように懐中時計を取り出して眺める。

「棄権しなさい。貴女は素敵な殿方と共に、もっともっと長く幸せな時間を生きる運命にある人…こんな力比べの場で、大事な『時間』を悪戯に磨り減らしてはいけないわ」

「……私も、最初はそう思ってました」

雪菜は小さく呟く。

「私みたいな非力な雪女が、天神学園の最強を決める戦いに首を突っ込むなんて場違いだって…でも…」

アイスブルーの瞳が、客席の龍太郎をチラリと見る。

「大切なお友達が、私を庇ってくれたんです…こはくさんが言ってました。『私を脱落させたくなくて庇ったんだ』って…だったら私の代わりに予選で脱落した龍太郎君の為にも、頑張って舞白先輩に勝たないとって…!」

< 106 / 197 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop