天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
宙へと舞い上がった己の体を制御し、舞白はフワリと着地する。

「あわわわわ…舞白先輩…小岩井さん…」

身に憑依され、ただただ翻弄されるがままの雪菜。

彼女の意識をよそに、二人は更に苛烈に打ち合う。

扇子が、大鎌が、撃剣の如き音を立てて何合も何十合も何百合も交錯する。

にもかかわらず、舞白の身にも雪菜の身にも、掠り傷一つつかないのは驚きだった。

共に達人の領域。

超常の力を持つ、高位の者の戦いとはこういうものなのか。

己の身を以ってその戦いを実感しながら、雪菜は思っていた。

……悲しいと。

自らの依怙地によって起きてしまった、敬愛する先輩と親愛なる先達の争い。

それが悲しく、申し訳なかったのだ。

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