天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
そんな舞白と小岩井さんとの対峙を遮るように。

「小岩井さん!」

雪菜が叫ぶ。

「すみません、私の体から出てもらえますか?」

「…ユキナサン」

「お願いします」

「…………」

彼女の肉体は借り物に過ぎないのだ。

本来の主に返すのが筋。

雪菜の肉体から出て行く小岩井さん。

それを確認した上で。

「舞白先輩」

雪菜は真っ直ぐに舞白を見つめる。

「参りました。私の負けです」

彼女は躊躇う事なく宣言した。

ざわめく観客席。

小岩井さんの姿が見えず、そのやり取りも歓声に紛れて聞こえなかった観客達は、雪菜の宣言が不可解に思えたに違いない。

少なくとも互角の勝負を展開していたのに…。

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