天神学園高等部の奇怪な面々ⅩⅡ
「よ、よくも兄上をっ!」

「月姫ちゃん、落ち着いて!」

木刀片手に席を立つ月姫を、きょうこと陽が押さえつける。

「やりやがる、こはくさん…」

龍太郎が険しい顔をした。

「自分の愛刀を投げ渡して宜虎の両手を塞ぐ事で、油断を誘うと同時に抜刀を阻止した…そのまま無手での連続攻撃…宜虎も無手の稽古くらいは積んでるかもしれねぇが、流石にこはくさんには劣るだろうからな…」

流石は夕城の嫁。

駆け引きでは宜虎より一枚上手のようだ。

「……」

何食わぬ顔をして自らの愛刀を拾い上げるこはく。

龍娘のカウントが続く中。

「悪く思わないで下さいね…これは試合の形をとっているとはいえ、『喧嘩』ですから…卑怯も汚いもないでしょう?」

こはくはニッコリ微笑んだ。

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